【03月26日UP】
予算と土地の条件から、建坪をこれ以上広げる事の出来ない小さな家での工夫をみていただきます。
●生活スタイル(希望)は、
- 夫婦と小学生(男女)の4人家族
- 泊まり客は年に数回で、ごく近い身内や親しい友人のみ
- 共働きで忙しいので、単純な生活動線がよい
- マンション生活が長かったので、ワンフロアーで完結できる暮らしが便利だと思っている
- 目配り気配りがしやすい家
- なぜかトイレに行くのを怖がる子どもたち
で、出来たのがこのようなプランです。
1級建築士・福祉住環境コーディネイター・インテリアプランナー・増改築相談員
工藤 美智子
工藤建築設計室
札幌市豊平区月寒3条6丁目
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これは、2階部分です。
●設計のポイントは、
- 日当たりの良さと、子どもだけでの留守番が多いので防犯性を考えて生活の中心は2階にする
- 2階全体をワンルームマンションのような空間にするが、間仕切り壁の配置や家具で視線を遮る工夫をする
- 子ども部屋は、成長とともに個室化していけるように作る
- キッチンから全体に気配りできるようにする
- 掃除がしやすい工夫 → 床仕上げを一種類にしドアのくつずりをつけない
- 回遊型プランにし生活動線を単純化する
- 収納物は管理しやすく →ペーパー類、タオル類、洗剤類はそれぞれ一番使う場所に一ヶ所
リビングに奥行きの深めなクローゼットをつくり扉を全開すると一目で中が見渡せるように
- 来客用の部屋は設けず、必要な時にコーナーを設けるように工夫(置きタタミやスクリーン)
というような事です。
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●次に写真を見ながら、使い方の工夫についてお話しします。
<リビング・ダイニング>
なぜ横長かというと、家族のくつろぐコーナーはいつも同じように確保しつつ、一見無駄と見えるクローゼット前のスペースを他用途に使うためです。
単純な間取りなので、必要に応じて変化させやすく、必要なものはクローゼットに収納してあるので、出し入れもスムーズです。
(左写真)ふだんの状態。ブロックやドミノ・パズルなどを広げてけっこう熱中できる空間です。
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布団を干し、洗濯物もたくさん干した状態。仕事をしているので、日中外に干す事がありません。
窓が南向きな為、最高のもの干場です。(UTとUBにも物干しスペースはあります) |
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泊まり客の為に和室にした状態。(四帖半のタタミスペース)
置きタタミに背の高いスクリーン(普段はクローゼットに収納、布団もここに入っている) |
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ひな祭りの飾り付け(普段はクローゼットに収納) |
<子ども部屋>
入居当初は、2人とも小学生で広く使えてよかったようです。
上の子が中学生になり仕切ってほしいが完全な個室では寂しい。そこでH=1800の間仕切りを設けました。声はかけ合えるが姿は見えず又、それぞれ個性にあった使い方になってきました。
仕切ると四帖弱の部屋ですが、ハイベットで下をクローゼットにしている為、狭さは感じません。カーテンで下部を仕切り、秘密基地のようにも使っています。
一般的な子ども部屋よりも狭いですが、勉強する・寝る・衣類や本や自分の物を収納する、自分の時間を持つなど部屋としての機能は十分果たしているようです。狭さが心地よいという事もあるようです。
今後成長とともに、音やプライベート意識から天井までの壁がほしくなり、部屋のドアもほしくなればその都度対応していきます。現在のところ、間仕切り上の空きを利用してキャッチボールをしたり、ハイベットの上どうしで話したりしているようです。
<子どもの作品展示スペースの工夫>
何か作るのが大好きな子どもたちですが、展示するスペースを考えると頭が痛くなる事もあります。
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子ども部屋の天井にメッシュの金網をつるし、ペーパークラフトをつり下げて展示しています。ベットに乗るとちょうど目線にくる為、作った本人は大満足です。 |
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階段の壁と、壁仕上げの都合で出来た見切りスペースに展示。
来客者からは見えない位置なので、気兼ねなく展示する事が出来ます。 |
狭い家でも単純な間取りでも、使い方や家具の置き方の工夫で、その時の自分たち家族にあった暮らしを作り上げていくと心地よく暮らしていく事・ェ出来ると思います。
設計者・施工者は家づくりのプロですが、住まいづくりのプロは生活者の皆さんです。
住宅展示場を見たり、雑誌の切り抜きやカタログなどでイメージを作り上げて、作るプロに自分の生活スタイルや希望を詳しく伝えてください。
又、家族の成長とともに変化させて行きやすいような家を、一緒に作り上げていってください。
今回で、『テーマVol.1:心身共に健やかな子どもを育む』を終わります。5回に分けてお読みいただきましたが、いかがでしたか?
来月からは、『
テーマVol.2:家族の暮らしを形にする』を連載します。